Decorate Anything : 懐かしの“デコ”ブームが再熱

Decorate Anything : 懐かしの“デコ”ブームが再熱

2024年の春頃から、バッグにたっぷりのキーホルダーをつけたり、スニーカーをパールやレースでデコレーションすることがブームとなっている。

トレンドとして普及し、キーホルダーを発売するブランドも少なくない。日本でいえば平成のギャルを思わせるようなポップでノスタルジーなトレンドを追ってみよう。

Pinterst - @mahammad1901

Pinterest - @BROADCASTRADIO

元祖・デコブーム?

令和のデコブームは、ある意味リバイバルだと言えるだろう。1990年代の「デコラブーム」や今ではY2Kと呼ばれる、2000年代の空気感がカムバックしたというべきか。

原宿のデコラブーム

当時のデコラのイメージと言えば、おもちゃ箱から飛び出してきたかのようなポップな装いを連想する人が多いのではないだろうか。 たしかに、バッグや手元、首元にアクセサリーをつけてはいるが、色合いやスタイリングは令和と平成でかなり差があるようだ。

Fashion Snap 2000年代イメージのデコラファッション©Fashion Snap

グローバルなY2Kのアトモスフィア

Y2Kファッションのスタイルを研究したヤン・シャオチュン(Xiaochun Yang)は、当時のY2Kの美学が、新世紀(1990年代から2000年)へのポジティブな未来像とテクノロジーへの期待感を反映していると指摘している。

ヤンは論文の中で、1995年から2004年にかけて広がったY2Kスタイルが、ファッションや音楽、ビジュアルアートなど、多岐にわたる領域でテクノロジーとデザインの融合を象徴する特殊な視覚感覚のスタイルであることを言及した※1。

世界的に見たY2Kスタイルは、「マトリックス」でキアヌ・リーブス(Keanu Reeves)演じるネオ(Neo)が未来的なメタリック素材やサイバー感のある衣装で登場し、人々の想像する「高度に発展した未来」のイメージを具現化していた現象などにも表れている。

令和のデコ・カルチャー

令和のデコブームでは、平成のY2Kスタイルと少し変わった様相を見せている。

ただしそのきっかけは、コロナ・パンデミックによって、インターネットカルチャーがさらなる興隆を見せ、2000年代初頭に人々がコンピューターに熱中したときのような空気感の復活によるところが大きいだろう。

ファッションの世界において、新たなY2KのトレンドセッターになったのがMiuMiu(ミュウミュウ)だ。

超・ミニのスクールガール風プリーツスカートやYシャツが火付け役となり、平成ギャルのファッションやY2Kの世界観が懐古されるようになった。

MiuMiu Spring 2022 READY TO WEAR©Filippo Fior / Gorunway.com

日本のトップモデルもまた、2000年代の空気感がカムバックしたことを感じているようだ。

READ Must Have Items For Styling Like MIUMIU

Y2K・デコレーション

Y2Kのカムバックを感じさせるデコトレンド。パンクムーブメントによってファッションのDIY文化が生まれ、「ファッションとアイデンティティ」が注目されたように、このトレンドもオリジナリティを自分でつくりあげるトレンドだ。

今回は、とくにカスタムがしやすいバッグやシューズ、アクセサリーにフォーカスしてみよう。

休日もワークデイもギャルマインドでキャリーする

カムバックしたY2Kのトレンドのひとつに「デコ」がある。

象徴的なのはCOACH(コーチ)のコレクションなのではないだろうか。

クワイエット・ラグジュアリー(ブランドロゴなどを主張しないクリエイション)として知られるTHE ROW(ザ・ロウ)のマルゴーをオマージュしたようなデザインの、ヴィンテージ感のあるくたっとした大きめのレザーバッグに、コーチのモチーフキーホルダーをジャラジャラとつけたルックが話題になったことは記憶に新しい。

バッグはもちろん、キーホルダーの売り上げも好調だという。ずっしりとした重量感のあるアイテムに、ポップでギャルなキーホルダーの組み合わせのギャップがポイントだ。

Coach FALL 2024 READY TO WEAR©Armando Grillo / Gorunway.com

2000年代、鏡やガラケーをキラキラのストーンで埋め尽くし、スクールバッグにPLAZAで集めたキーホルダーや手芸屋さんで見つけたリボンで飾り付け「学校に持っていくモノをいかに自分らしく、可愛くデコレーションするか」に情熱を注いでいた人は多いのではないだろうか。

たとえば、”niki”のキーホルダーや好きな韓国アイドルの顔写真、コーチやkate spade(ケイト・スペード)の派手な定期ケース、空港で買ったお土産のキーホルダーが当時の学生ギャルアイテムだった。

昨今のトレンドを見てみると、当時のギャルを意識したデコとアニメのキャラクターグッズなどをミックスさせてあえて「インターネットオタクっぽさ」を出すなど、さまざまなカルチャーが融合されているようだ。

Pinterst@arikeswrld

昨今のデコブームは何も学生に限った話ではない。いやむしろ、大人であるほどギャルマインドで生日々を闊歩したい。だからこそ、バッグやシューズといったファッションできらきらを纏うのだ。

大人のデコ、ポイントはデコの本体となるバッグである。

キーホルダーがポップでかわいい印象を与えるため、バッグはシックで上質なものをチョイスすることで、遊び心もありながらリッチなスタイルになるだろう。

タイムレスに使える、上質でシンプルなレザーバッグにおもちゃのようなキーホルダーをつけるからこそのアンバランスさを楽しもう。

©︎Pinterest

休日用のミニバッグにキーホルダーをプラスするだけでなく、ジョブバッグにも自分らしさと遊び心を。

シックで無難なバッグに、鮮やかな指し色のキーホルダー。バッグの中身はあえて雑多に詰め込んでみてもいい。バッグで自分のペースをつくり、自然体で仕事に向かえそうだ。

Pinterest@cdillydally

一歩ごとにきらめきの魔法を

デコ旋風はシューズでも巻き起こっている。たとえば、PinterstやInstagramで「#シューズデコ」のハッシュタグで検索すると夢みたいなきらきらスニーカーを見ることができる。

ただしこれは過去のブームの再熱というよりはcecilie bahnsen(セシリー・バンセン)とasics(アシックス)のコラボレーションスニーカーの大ヒットが根幹にあると言えるだろう。

Pinterst@hkimtilda

Cesilie Bahnsen SPRING 2024 READY TO WEAR

スタイリッシュなイメージのアシックスのスニーカーが、セシリー・バンセンらしいビーズ、お花、レースといったガーリーなモチーフでデコレーションされており、どことなくドレッシーな印象がとても新鮮である。スポーティさとフェミニンさのバランスが絶妙なため、さまざまなテイストの服とも合わせやすい。

このアイテムが入手困難なため、好きなスニーカーを自分好みにデコレーションしようというファッションラバーも少なくないようだ。

Pinterst@amberyerile

お花、レースをふんだんに使ったデコレーションも人気だが、パールを用いたデコレーションも多く見受けられる。

パールの艶めきがドレッシーな印象を与えてくれる。たとえば、冬にクラシックなオーバーサイズのロングコートに合わせたい。

Pinterest

スポーティなアシックスとの相性の良さが証明されたわけだが、フラットなローテクスニーカーとのマッチングも押さえておきたい。

トレンドであるウォッシュ風味の色落ちデニムを腰履きし、裾から覗かせるスタイリングなどは、どんな季節でも人目を惹くだろう。

Pinterst@mahammad1901

どこからデコレーションしていけばいいか分からない場合は、ミュウミュウを参考に、シューレースだけカラフルにしてみるところから始めてみるのがおすすめだ。

Pinterst@jordynkylar

もしくは、シューレースに好きなビーズやバッチを通すのもポップなかわいらしさがある。飽きたら外せばいいので、気分転換に手持ちのnike(ナイキ)やadidas(アディダス)、new balance(ニューバランス)のシューズを自分好みのデコレーションシューズにしてみてはいかがだろうか。

©︎Pinterest

エクストリームでドリームなデコレーション

ややハードルは上がるが、ボトムスの腰回りもチェーンでがらりと印象を変えられる。

ビーズやレースを縫い込むのは難易度が高いが、チェーンなら簡単にその日の気分でつけ外しが可能だ。

たとえば、シャツにスラックスというクラシカルなスタイリングでもシルバーのハードなチェーンをプラスすることでどことなくフェティッシュな印象になる。

はたまた、シンプルなニットのトップスやデニムパンツとベルトチェーンの組み合わせもキャッチ―で可愛らしい。

©︎Pinterest

もはや、Y2Kが令和の一大トレンドになって以来、2000年当時の写真を見つけることが困難になってしまった。

今やiPhoneでノスタルジーに加工した写真を撮ることは容易いし、その写真が当時のものか現在のものかを見分けるのは至難の業だ。

もしかしたら、我々は2000年代に理想を抱き、本来なかったはずの「2000年代」のノスタルジーに憧れているのかもしれない。

とはいえ、昨今のY2Kブームは当時のリバイバルもさることながら、スポーティ×フェミニンの組み合わせなど、バージョンアップした新しいカルチャーとしても受け入れられている。どんな組み合わせも楽しめる自由なファッションがこのトレンドの魅力だろう。

Cecilie Bahnsen x ASICS for Dover Street Market©Cecilie Bahnsen

Coach FALL 2024 READY TO WEAR©Armando Grillo / Gorunway.com

stokでは、特にシンプルなブランドバッグの取り扱いが豊富であり、それもアイコニックな人気商品が多数掲載されている。

シンプルなバッグにお気に入りのチャームをつけ、自分のアイデンティティバッグを手に街に飛び出してみよう。

Reference

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