
Maison Margiela:謎多き天才が生んだメゾンが憧れの象徴になるまで
いまや、Maison Margiela(メゾン・マルジェラ)は世界中に熱狂的なファンがいるブランドだ。インフルエンサーやセレブリティから学生までその層は分厚く、多様。
しかし、メゾン・マルジェラ(ちなみに、2015年1月までは「Meson Martin Margiela(メゾン・マルタン・マルジェラ)」)の創始者であるマルタン・マルジェラ(Martin Margiela)は、そのすがたを滅多にメディアにさらさなかった。それどころか、インタビューすら限られている。つまり、発表されたコレクションやブランドそのものが、マルタン・マルジェラの考え方や価値観、視点を物語っているのである。


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マルタン・マルジェラは何者なのか
いまのメゾン・マルジェラを築き上げたマルタン・マルジェラは、1957年にベルギーの美容師のもとに生まれた。アントワープ王立芸術アカデミーを卒業後、ジャン=ポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)のもとで経験を積んだのち、1988年にメゾン・マルタン・マルジェラを設立する。
ゴルチエのもとにいたのはなんと4年ほどで、すぐに自身のブランドを設立した手腕から、「マルジェラが優秀だとはわかっていたが、これほどとは思わなかった※1」とゴルチエに言わしめた。

2019年に公開された映画「マルジェラが語る”マルタン・マルジェラ”」©2019 Reiner Holzemer Film – RTBF – Aminata Productions
マルジェラのクリエイションは、実験主義と前衛的なアプローチによって構成されており、衣服に対する大胆なアプローチはしばしば「破壊者」と評される。世界与えた大きな衝撃は、これからも歴史に残り続けるだろう。
一方で、マルジェラは「破壊」という言葉に対して意外にも、以下のように述べている。
自分のデザインを”破壊”と受け取られるのは納得がいかない。 古い服だろうと新しい服だろうと、私がもう一度はさみを入れるのは、形を変えるためなのに※2
創設者であるマルタン・マルジェラとそのブランド、メゾン・マルジェラの歴史を紐解くために重要なキーワードがある。
「脱構築」「匿名性」「数字」という3つのキーワードのうち、このマルジェラの発言からは「脱構築」の考えが伺えよう。マルタン・マルジェラは2008年に引退を発表し、同時にブランドの名もメゾン・マルタン・マルジェラからメゾン・マルジェラに変更されたが、マルタン・マルジェラの思想は、跡を継いだジョン・ガリアーノ(John Galliano)やメゾン・マルジェラのスタッフたちにも受け継がれている。
キーワード①:脱構築
【脱】構築とは、二項対立にとらわれることなく、物事や概念がどのような枠組みでどのように成り立っているのかを疑い、そのなかに潜むさまざまな選択肢を探し出すこと。そして、新たな理解や解釈を見出す過程を【再】構築という。
たとえば「男性」「女性」という二項対立がある場合、脱構築的な視点ではこの二項対立を疑い、性別が社会や文化によってどのように形成されてきたのかを探る。つまり、脱構築の目的は、物事を単純化してとらえるのではなく、複雑かつ多様な要素を理解し、固定概念から解放することにある。
マルタン・マルジェラは、自身のコレクションでこの脱構築とを試み、新たな解釈を再構築しているのだ。
脱構築のアプローチは衣服に限らない。1995年のコレクションでマルタン・マルジェラは、従来のランウェイ形式に疑問を投げかけ、歩かないショーを行った。この出来事も、従来のランウェイという「形」を変える脱構築と再構築といえるだろう。

SPRING 1995 READY TO FASHION© Condé Nast Archive
現在のメゾン・マルジェラでもお馴染みの裏地を表に出す、縫い目をあえて見せるという手法も、衣服そのものの概念を問い直すアプローチだ。これは、まさに実験主義的な手法であると同時に、「ファッションが持つ意味」を根本から再考させる試みだ。
その実験的な取り組みのなかでも、とくに注目したいのが「アップサイクル」だ。いわゆる古着を、革新的なアイデアで新たな服に蘇らせるという斬新な取り組みで衝撃を与えた。
2020年にはすでにマルタン・マルジェラは引退しジョン・ガリアーノが後を継いでいたものの、ガリアーノはマルタン・マルジェラが考案した「Replica(ヴィンテージ服の復刻をテーマにしたライン)」を進化させたライン、「Recicla(レチークラ)」を発表している。
「Recicla」のコレクションは、マルタン・マルジェラへのリスペクトだけでなく、現代におけるサステナブルなアプローチにマッシュアップさせたクリエイションをみることができ、新たなラグジュアリーのあり方を提示したといえるだろう。

FALL 2020 READY TO FASHION©Armando Grillo / Gorunway.com
キーワード②:匿名性
マルタン・マルジェラは、滅多にメディア露出をしない。インタビューも限られており、そのすがたはヴェールに包まれている。
マルタン・マルジェラが「We(私たち)」という一人称をよく用いていたことは有名な話だが、ファッションブランドにおいて最も重要視され、それゆえにデザイナー主義的になりがちな傾向があるなかで、あくまで「We」を強調し露出を拒むマルタン・マルジェラ。
たとえばそれは、コレクションにも表れている。1995年秋のコレクションや1998年のコレクションなど現在に至るさまざまなシーズンで顔や目を隠したモデルが登場する。このフェイスマスクは、マルタン・マルジェラが手掛けた1989年の春夏コレクション以降、重要なアイテムとなっている。「顔を覆う」という行為から、モデルのアイデンティティに関わらず、服そのものに目を向けてほしいという意図が読み取れるのではないだろうか。

また、「顔を覆う」演出は、単なる匿名性の追求に留まらず、ファッション業界における「個」への過度な注目に対するカウンターともいえる。デザイナーがスター化し、モデルがアイコンになる時代において、マルタン・マルジェラは「We」として、コレクションを通じて集合的な創造性を強調した。
ここには、伝えたいメッセージは作品が伝えるもの、という哲学が見え隠れしている。マルタン・マルジェラは、ファッションそのものがもつ「伝えるちから」を最もよく理解し、信じているデザイナーなのかもしれない。
一方で、このような「匿名性」を貫き、アヴァンギャルドな美学を提示し続けたブランドが、今や広く認知され、ファッションアイコンの象徴となっている。この矛盾は、メゾン・マルジェラの不思議な点と言えるだろう。
キーワード③:数字
「数字」は、メゾン・マルジェラの重要な要素だ。メゾン・マルジェラの特徴的なアイテムタグには、0から23までの番号が振られている。この番号は単なる分類ではなく、ブランドの哲学や歴史を象徴するコードでもあるのだ。
数字とは、本来、分類や整理のために存在するもの。メゾン・マルジェラの数字にもそれぞれ意味があり、それに従って分類される。しかし面白いのは、この秩序性とは反対に、メゾン・マルジェラのコレクションは、「脱構築」と「再構築」を試みるという、ある種秩序の解体に向かっているということだ。

Maison Margiela Official©Maison Margiela
数字で紐解くマルジェラの美学とブランドの変遷
メゾン・マルジェラの数字と言う秩序と、実験的なコレクション制作による脱構築。この両者が成立する不思議な魅力を数字タグに則って、アイテムとともに見ていこう。
「0」─アーティザナルコレクション
「Artisanal collection」。ライン0は、すべてのクリエイションの基盤ともいえるラインだ。メゾン・マルジェラのオートクチュールラインであり、すべてのクリエイションが手仕事で行われる。ヴィンテージと新しい素材を組み合わせるなど、メゾン・マルジェラの職人技が光るラインといえるだろう。「0」もしくは「10」がアーティザナルにあたり、1991年秋冬シーズンからスタートした。
たとえば現在では、毎年行われるメトロポリタン美術館の祭典「MET GALA(メットガラ)」に出席するセレブリティが着用しているすがたをみることができる。2024年のメットガラでは、共同ホストを務めたゼンデイヤ(Zendaya)がメゾン・マルジェラのドレスを着用したことで大きな話題となった。

「0 10」──手仕事でフォルムを再構築した男性のための服
諸説あるが、アーティザナルコレクションは「0」「10」の数字が割り当てられていると言われている。「0」のみであれば「Germents remodeled by hand for women」つまり女性の体形などにあうようにつくられたピースであることを示す。
一方、「0」「10」であれば「Germents remodeled by hand for men」、したがって男性向けに制作されたピースであることを示しているのだ。
コレクションを辿っていくと、メゾン・マルジェラでは、2018年~19年頃からいわゆる男性モデルのクチュールピースが増え始めている。

2024年のアーティザナルコレクションでは、コルセットでウエストを絞ったスタイルや陰部が透けて見えるスタイルなど、一見すると昨今では疑問視されそうな大胆なコレクションが多く発表された。
このショーが生み出した映像や印象は、見ている者に強烈に焼き付く。近年のファッション業界が大胆さを失いつつあるなかで、ガリアーノは議論が紛糾することを理解したうえで、あえて創造性の価値を改めて示そうとしたのかもしれない。

SPRING 2024 COUTURE©Filippo Fior / Gorunway.com
「1」─ウィメンズウェア・コレクション
ウィメンズウェアラインは、実験と解体的アプローチが融合したコレクションが特徴だ。ガリアーノの手によって、そこにさらにアーティスティックな要素が加わり、より表現の幅が広がった。
「1」にウィメンズコレクションは、いわゆるプレコレクションに相当している。
たとえば、額縁や椅子などの家具を衣服に脱構築したコレクション、男性のスーツを女性の身体にフィットするように解体したコレクション、日本の要素とSF観をローファイな世界観で表現したコレクションなど、誰も思いつかないような組み合わせで既存のファッションを解体し、マルジェラの世界を構築する。
それは、マルタン・マルジェラだけでなく、マルタン・マルジェラが去った後のメゾン・マルジェラチームやガリアーノにも共通していることだ。

2024春のコレクションでガリアーノは、男女混合のコレクションで針金やごみの残骸、ごみ袋をモチーフを用い、それらのある種「騒々しさ」を卓越した想像力によって再構築した。
卓越した手作業の技術を駆使してヴィテージ服を生まれ変わらせてきたメゾン・マルジェラだからこそ、このコレクションでは身頃や裏地、ペチコートを切ったり裏返したり、組み合わせたりしたクリエイションが目立った。

SPRING 2024 READY TO WEAR©Alessandro Viero / Gorunway.com
「3」──フレグランスライン
アイテム番号「3」は、メゾン・マルジェラのフレグランスライン。「Replica(レプリカ)」と名付けられた香水たちは、日常の記憶や感情を香りで表現するというコンセプトで人気を博した。
「クリエイティブな共同体」というメゾン・マルジェラ独自のアプローチを取った「レプリカ」は、忘れられない感覚や記憶を共有するための普遍的な方法なのだ。
たとえば、「レプリカ オードトワレ バイ ザ ファイヤープレイス」は、「ファイヤープレイス」という言葉の通り雪が降る日の暖炉に包まれた記憶を呼び起こすよう仕立てられた。
真冬のフランス山岳シャモニーの朝、真冬に暖炉の温かさに包まれる心地良さを想起させるレプリカ オードトワレ バイ ザ ファイヤー プレイス。凍てつく景色を白く覆うかのように降る雪を窓から眺めながら、パチパチと音を立てて燃える炎のほっとする温かさと暖炉にくべられたチェスナッツのほのかにスモーキーな香りに包み込まれる…そんな空間へと誘う木のぬくもりを感じさせる温かく甘い香りが特徴 ※3

Maison Margiela Official - レプリカ オードトワレ バイ ザ ファイヤープレイス
「レプリカ」が人気なわけは、インスピレーションのオリジナリティやデザインの秀逸さだけではないだろう。リミテッドの「レプリカ」が定期的に発表されるため、そのコレクション欲が掻き立てられる。
2025年の春は桜と金継に着想を得た限定ラベル「ブルーミング ゴールド」が限定で登場するようだ。
桜は儚い美の象徴だが、金継は割れた陶器同士をつなぎ合わせ再生する永続性を表す。相反する「瞬間」と「永遠」を組み合わせた、日本の美意識を描き出したシリーズだ。

「4」──ワードローブ「アイコンズ」
もともと、クラシックなワードローブのラインであった「4」と「14」を、2021年にガリアーノが「アイコンズ」として再定義した。「アイコンズ」は、「記憶に残る」という永続性と普遍性、そしてブランドを身に纏う人のロイヤリティを高めるというインスピレーションがもとになっていると言われている。
「4」はウィメンズ、「14」はメンズのワードローブを示し、ときに奇抜なコレクションが多いメゾン・マルジェラのなかでも、タイムレスでリアルクローズな一面が見られる。

メゾン・マルジェラ「アイコンズ」©Maison Margiela
「6」──MM6 Maison Margiela
「6」は、1997年にメゾン・マルジェラのコンテンポラリーラインとして誕生した「エムエムシックス(MM6)」。「女性のための衣服(ガーメント)」が独立したエムエムシックスは、よりカジュアルなラインでありながら、マルジェラらしい実験的なデザインを継承している。
「4」のアイコンズとはまた違ったベーシックさを提案しており、デニムやTシャツなどがとくに若者の人気を得た。
現在では、カジュアルさだけでなくドレッシーなスタイルや渋さを感じるスタイルも発表され、加えてウィメンズだけでなくメンズのコレクションも発表されている。

FALL 2025 MENSWEAR©Courtesy of MM6 Maison Margiela
MM6のアイコンといえば、「ジャパニーズバッグ」を彷彿とする人もいるのではないだろうか。折り紙というジャパニーズなアイテムからインスピレーションを受けたバッグは、スタイリッシュでありながらサイズ展開や素材のバリエーションが豊富で、さまざまなシチュエーションに適した人気のアイテムだ。

©MM6 ©︎Vogue
「8」──アイウェアコレクション
アイウェアには「8」が当てられている。「8」を90度傾けるとまさにメガネ(∞)のようなかたちになるあそびごころからだろうか。
メゾン・マルジェラのアイウェアは、このアイテムひとつで普段のスタイリングの印象が変わるまさにアクセサリー感覚で楽しめるところがポイント。
2024年には、「GENTLE MONSTER(ジェントルモンスター)」とのコラボアイウェアが大きな話題を呼んだ。ジェントルモンスターは、2011年にスタートした韓国発のブランド。とくに繊細なシルバーの細いフレームがY2Kブームとマッチしたことで、K-POPアイドルやインフルエンサーが着用し、ファッションラバー御用達のブランドとなった。
メゾン・マルジェラとジェントルモンスターのコラボアイウェアでは、フレームサイドにメゾン・マルジェラのアイコンマークである4本の白いステッチが刻印されているデザインも。
普段使いできそうなカジュアルなデザインからSFチックなデザインまで、マルジェラらしい提案を楽しむことができる。

Maison Margiela Official©Maison Margiela Official
「10」──メンズウェア・コレクション
「1」がウィメンズのコレクションであったように、「10」はメンズのコレクションを指す。メゾン・マルジェラ(当初はメゾン・マルタン・マルジェラ)は1988年にウィメンズコレクションからスタート、そしてメンズウェアは1998年にスタートした。
ウィメンズコレクションと同様に実験的で脱構築的なコレクションを発表し、根強いファンを獲得している。

たとえば、ジョン・ガリアーノによる2019年は春のメンズウェアコレクションは、テーラリングにオートクチュールの技術を融合させた試みだった。ところが、ドレスを着た男性は登場せず、代わりに英国の伝統的な狩猟や釣りのスタイルに、ビニールやレザーを組み合わせ大胆なセクシーさを演出した。
洗練されたテーラリングを基盤としながらも、脱構築と再構築を通じて新たなシルエットや概念を生み出し続けている。ジェンダーにとらわれない視点や、意外性のある素材の組み合わせは、単なる衣服ではなく、着るもののアイデンティティや時代の変化を映しだす表現として機能しているのだ。

SPRING 2019 MENSWEAR©Luca Tombolini / Indigital.tv
「11」──アクセサリーコレクション
「11」は、「Acollection of accessories for women & men」つまりアクセサリーのライン。「IDタグ」のついたブレスレットなどがアイコニックで、過度な装飾のない無骨なアクセサリーが目を惹く。「IDタグ」は「ドッグタグ」と呼ばれることもあるが、もともと兵士が身に付けていた個人情報やメッセージを刻印するタグのことを指す。
つまり、「その人がその人である」ということを示すために用いるものだ。
しかし、メゾン・マルジェラのIDタグの表面にはなにも刻まれていない。ここからは、メゾン・マルジェラの哲学「匿名性」が見えてこないだろうか。

Maison Margiela Offiicial©Maison Margiela
シルバーやゴールドのアクセサリーだけでなく、三トンやマフラー、ベレー帽などニットアクセサリーも豊富だ。
寒い日々、毎日の外出が楽しくなるニットアクセサリーは大切な人へのプレゼントにするのもいい。

Maison Margiela Offiicial©Maison Margiela
「12」──ファインジュエリーコレクション
実はファインジュエリーコレクションを発表しているメゾン・マルジェラ。2014年に「ヘリテージ(‘HERITAGE’)」という名でローンチされたファインジュエリーのコレクションは、それまでのファインジュエリーの歴史をリスペクトしつつ、メゾン・マルジェラ(メゾン・マルタン・マルジェラ)らしい視点で解釈を加えた。
エレガントなデザインでありながら、まるで時間の経過や偶然の変化を纏ったかのような仕上がりで、伝統と前衛が融合した独自のスタイルを提案している。

「13」──オブジェ・出版物
メゾン・マルジェラでは、衣服のほかにデザインオブジェのセレクションや書籍の出版も行っている。
メゾン・マルジェラの哲学や見えない部分は、書籍から読み解いてみるのもいいかもしれない。

「14」──男性のためのワードローブ
「14」は、ベーシックながらマルジェラらしさも随所に散りばめられた男性のためのワードローブのラインだ。一説によると、メゾン・マルタン・マルジェラの時期に発売されていライダースが「14」のラインとしてカルト的な人気を誇っていたようだ。

「22」──シューズコレクション
1989年の初コレクションから登場した「タビブーツ」。その名からも分かるように、日本の足袋から着想を得たこのブーツは、マルジェラのアイコニックなアイテムだ。
タビブーツはヒールの高さやデザイン、柄もシーズンによって異なっておりコレクションをしている人も多い。カジュアルな場だけでなく、フォーマルな場、パーティなどさまざまなオケージョンに合わせて活躍する万能シューズだ。

デザイナー交代とブランドの進化
マルタン・マルジェラの退任と後を継ぐデザイナー
2009年にマルタン・マルジェラがブランドを去ったあと、ガリアーノが2014年にクリエイティブ・ディレクターに就任した。ガリアーノは、マルタン・マルジェラにリスペクトを持ちつつも、自身の色も組み込んでいきよりアーティスティックかつラグジュアリーな方向へ進化していく。
ところが、2024年12月11日にガリアーノがメゾン・マルジェラを去ることが発表されたのだ。約10年にわたってメゾン・マルジェラで数々の伝説を残してきたガリアーノの退任に、ファッション界は大きな衝撃を受けた。
彼の退任後、メゾン・マルジェラはどのような方向へ進むのか、後任のクリエイティブディレクターは誰になるのか、関心が寄せられている。

ガリアーノが退任の発表に際して公表した手紙には、メゾン・マルジェラ、ファッション、人への愛に溢れていた。
マルタン・マルジェラの意志や哲学、思いはガリアーノやメゾン・マルジェラスタッフ、ファンにに受け継がれていたし、メゾン・マルジェラが紡いできた歴史は、これからもながくながく続いていくだろう。
I want to celebrrate the joy I found in the various ways we communicated creativily and worked with different artistic cultures, theater, cinema, digital, embracing all these cultures to celebrate fashion.(私たちが創造的にコミュニケーションを取り、さまざまな芸術文化───演劇、映画、デジタル───とともに仕事をし、それらすべてを受け入れながらファッションを祝福してきたことに喜びを感じています。)

2024年アーティザナルコレクション。異世界の物語のなかに誘われるようなコレクションで大きな話題を呼んだ。©Maison Margiela
References
- - Maison Margiela「Artisanal 2024 Exhibition Tokyo」
- - Maison Margiela Official
- - Maison Margiela MM6 Official
- - ※3 Maison Margiela Official「レプリカ オードトワレ バイ ザ ファイヤープレイス」([https://www.maisonmargiela.com/ja-jp/レプリカ オードトワレ バイ ザ ファイヤープレイス-S33YX0024S11331961.html]
- - FASHION PRESS「メゾン マルジェラ(マルタン マルジェラ)」
- - SSENSE「Maison Margielaを紐解くA~Zガイド」
- - FARFETCH 「Maison Margiela が人気の理由。なぜファンが増え続けるのか?」
- - FASHION PRESS「メゾン マルジェラ『レプリカ』フレグランスの香水やキャンドルが“桜×金継ラベル”に」
- - madameFIGARO.JP「メゾン マルジェラの「アイコンズ」とは?」
- - FASHION PRESS「メゾン マルジェラの新ライン「アイコンズ」 タイムレスでジェンダーレスな価値観を提案」
- - FASHION PRESS「メゾン マルタン マルジェラから新作ファインジュエリーコレクション「ヘリテージ」誕生」
- - FASHION SNAP「ガリアーノの最高傑作 「メゾン マルジェラ」24年アーティザナルが記憶に残る理由」
- - UPLINK「マルジェラが語る”マルタン・マルジェラ”」
- - ※1※2 リンダ・ワトソン著 河村めぐみ訳(2021)『世界ファッション・デザイナー名鑑』トゥーヴァージンズ
- - Casa BRUTUS「彼はなぜ姿を消したのか?映画『We Margiela マルジェラと私たち』|石田潤のIn the mode」
- - VOGUE JAPAN「ジョン・ガリアーノがメゾン マルジェラを退任。後任は未定」
- - BRITISH VOGUE「Maison Martin Margiela The Meaning Of Margiela」
- - THIRD LOOKS「The Maison Martin Margiela Reference Guide」
- - COSMOPOLITAN「Zendaya looks beyond in Maison Margiela Artisanal by John Galliano at the 2024 Met Gala」
- - BOOK OF DAYS ONLINE SHOP「MAISON MARTIN MARGIELA」
- - GRAILED
- - VOGUE RUNWAY「SPRING 1995 READY TO FASHION」
- - VOGUE RUNWAY「FALL 2020 READY TO FASHION」
- - VOGUE RUNWAY「Maison MargielaFall 1995 Ready to Wear」
- - VOGUE RUNWAY「SPRING 1998 READY TO FASHION」
- - VOGUE RUNWAY「Maison MargielaFall 1998 READY TO WEAR」
- - VOGUE RUNWAY「Maison MargielaFALL 2000 READY TO WEAR」
- - VOGUE RUNWAY「Maison MargielaFall 2006 Ready to Wear」
- - VOGUE RUNWAY「Maison MargielaFALL 2012 COUTURE」
- - VOGUE RUNWAY「Maison MargielaSPRING 2012 READY TO WEAR」
- - VOGUE RUNWAY「Maison MargielaSPRING 2016 READY TO WEAR」
- - VOGUE RUNWAY「Maison MargielaSPRING 2019 COUTURE」
- - VOGUE RUNWAY「SPRING 2019 MENSWEAR」
- - VOGUE RUNWAY「Maison MargielaSPRING 2024 READY TO WEAR」
- - VOGUE RUNWAY 「Maison Margiela FALL 2022 COUTURE」
- - VOGUE RUNWAY 「Maison Margiela SPRING 2024 COUTURE」
- - VOGUE RUNWAY「Maison MargielaFALL 2025 MENSWEAR」
- - VOGUE RUNWAY「MM6 Maison Margiela PRE FALL 2022」
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