Acne Studios:革新的な表現を生み出すクリエイター集団

Acne Studios:革新的な表現を生み出すクリエイター集団

クリエイター集団の誕生ーACNEから始まった歴史

近年、ロゴの入ったマフラーやヴィンテージ加工されたダメージジーンズなど、多くのヒットアイテムを生み出しファッション愛好家から愛され続けているAcne Studios(アクネ・ストゥディオス)。ラグジュアリーな雰囲気を纏いながら、主張を抑えたデザインで老若男女問わずさまざまな層から人気を博している。

ブランドの名前の由来である、様々なジャンルのクリエイターが集まるという世界的なムーブメント “Ambition to Create Novel Expression”(革新的な表現を生み出す野望)をモットーに、ウェアだけに留まらず、マガジン、家具、書籍、展示会などを扱うクリエイター集団として高い評価を受け続けているファッションハウスだ。

今回は、そんなアクネ・ストゥディオスの歴史を辿り、どのようにして今の人気に至ったのか、その秘密を探っていく。

©︎IFDM

Ambition to Create Novel Expressionー革新的な表現を生み出す野望

アクネ・ストゥディオス、クリエイティブディレクターであるジョニー・ヨハンソン(Jonny Johansson)

1997年に「ACNE JEANS」(アクネ・ジーンズ)としてジョニー・ヨハンソンによってブランドで一番最初に制作された100本限定のレッドスティッチの生デニムは、身内のみに配られたそう。その噂はすぐに広がり、人気を集めた。©︎fashionpost.jp

今では誰もが知るブランドとなったアクネ・ストゥディオスだが、その歴史はクリエイティブ集団「ACNE(アクネ)」に基づく。

1996年、アクネは現在のクリエイティブディレクターであるジョニー・ヨハンソンとその同僚3人により、スウェーデン・ストックホルムでクリエイティブコンサルタント会社として設立された。そう、最初はファッションブランドではなく、あくまでもクリエイティブを得意とする会社だったのだ。そして、1998年に創業メンバーの一人であるヨハンソンが中心となって、本格的にファッションブランドとしてスタートしていった。

では、その名前の由来とは一体何なのだろうか。

「アクネ」と聞くと、その英単語からニキビ?と思われる方もいるかもしれない。だがそれは関係無く、「アクネ」とはそれぞれ頭文字を取ったものだ。ACNE=Ambition to Create Novel Expression つまり”革新的な表現を生み出す野望”だ。強いDIYの精神を持ったクリエイター達が集まり、アイディアが自由に飛び交うワーキングスペースをコンセプトとし設立されたアクネ・ストゥディオスは、このモットーを掲げ、各専門分野を追求するクリエイティブ集団としてスタートしたのだった。

©︎FASHION SNAP

「Acne Paper(アクネペーパー)」の発刊

実はアクネ・ストゥディオスは、ウェアの他にも、ファッションと出版部門のアートディレクションを手がけてきた。ブランド誌「アクネペーパー」をご存知だろうか。これはブランドオリジナルの雑誌で、2005年から年2回発行され、大きな影響を与えた。

ページは写真、芸術、文学、ジャーナリズムなど多様な分野から創られ、ブランド全体の世界観や概念のようなものが集約された。ファッションをあくまでも構成要素の一つとして捉えることで、 歴史への深い洞察を通し、広範な文化に目を向けた。撮影には、ソール・ライター(Saul Leiter)やサラ・ムーン(Sarah Moon)、ヴィヴィアン・サッセン(Viviane Sassen)などの世界的フォトグラファーも参加した。そして、同誌の編集長兼クリエイティブディレクターとして、トーマス・パーソン(Thomas Persson)が指揮をとった。

ブランド自体がもともとインターネット事業のクリエイティブ集団だということもあり、その素晴らしく洗練された内容の雑誌は、ファッション業界で瞬く間に注目された。

『アクネペーパー』2024ss

当初、クリエイティブコンサルタント会社としてライフスタイルブランドの支援を事業としていたが、アクネとしてのブランド設立や商品展開も視野にあったそうだ。

そこでヨハンソン達は、商品広告やグラフィックデザインなどに携わるクリエイティブ集団として、アートに造詣の深いデザインソースや「アクネペーパー」と連動したイメージ訴求など、ユニークで多角的なアプローチを行なった。今まで人気アイテムでもあるジーンズをアイコンに、カジュアルウェアからアクセサリーまで幅広く展開してきた。

きっかけは思わぬところにーファッションとの接点は「ジーンズ」

ブランドが注目を集めたきっかけはジーンズだ。

ヨハンソンは「アクネ・ストゥディオスにとってのデニムとは?」という質問に対して、

“デニムは私達が日常で最も頻繁に着用する衣類であり、履く者の人生を刻むものです。” ※1

と述べている。

彼はそれまで多くの製品の広告やグラフィックデザイン、テレビ、ネットゲームなどに携わっていたが、友人や家族のためにハンドメイドで制作したユニセックスのジーンズなどが、雑誌を中心に注目を集めるきっかけとなったのだ。

当初、あくまでも「クリエイティブ集団」だった中で、片手間で行っていたジーンズ事業がまさかのファッション業界で大きな話題へ。もちろん服作りに詳しくなかったためかなり焦った彼らは、その際、スウェーデンの主婦たちの手を借りたという伝説も。

このジーンズ分野でのきっかけが基盤となり、1998年にはファッションライン「アクネ・ジーンズ」としてコレクションをスタートした。最初はデニムを中心としていたが、レディース、メンズ共に、アパレル製品全般にわたってコレクションを発表していった。

アクネ・ストゥディオスのジーンズへのこだわりは凄い。

ヨハンソンはデニムを愛している。彼がデニムが好きな理由は、持続可能性が高いということだ。彼は時々、長い間1本のジーンズを持っている友人を羨ましく思っているという。

生地は全て自社で製作され、縫製までも自社で手掛けている。ある工場とは何年も一緒にデニムを作り続けている。その製法技術は世界的に見てもトップレベルだ。職人によってこだわって作られたジーンズは、何より心地良いフィット感を持つ。ひとつひとつハンドメイドされた丁寧な仕上がりが高級感のある滑らかな履き心地を生み出し、現在の人気に繋がっている。

ロゴの変更ーモダンでミニマルな印象へ

©︎MARUMARU

アクネ・ストゥディオスは、ブランドの正式名称が1998年当初の「Acne Jeans(アクネ ジーンズ)」から2008年「Acne(アクネ)」「Acne Studios(アクネ ストゥディオズ)」へと3度変更されている。

2014年プレフォールコレクションからは、ロゴが変更された。それに伴い、コレクションのタグも新しいロゴで統一されるようになった。もともと、丸みのあるカジュアルな印象のハウスロゴだったが、よりミニマルで洗練されたロゴへ生まれ変わった。

これは、「フォントを統一させることでブランドのモダンな印象を強める」という考えから来ているそうだ。※2

ちなみに、これによって、アクネ・ストゥディオスのヴィンテージ品などはロゴのデザインを見ることで2014年以前に作られたものか、それ以降のものかを判断することができる。

2012年 初のフラッグシップストアをオープン

2012年には、TOMORROWLAND(トゥモローランド)と合弁し、日本初、そしてアジア初となる旗艦店「ACNE STUDIOS AOYAMA(アクネ・ストゥディオズ・アオヤマ)」を東京・青山にオープン。

場所は、「10 corso como COMME des GARÇONS(ディエチ コルソ コモ コム デ ギャルソン)」の跡地。3フロア構成の店内には、メンズ・ウィメンズの2012年秋冬コレクションから2013年春夏コレクションが並んだ。

全フロアに渡って「モダンなスウェディッシュ・ハウス」をイメージしてデザインされた。幾何学的で特徴的な床はブランドのデザインにも反映されているコラージュの手法で、異素材ミックスで作られた。開店当日には、噂を聞きつけたファッショニスタたちが集った。

日本においてはそれまで百貨店やセレクトショップなどで展開されていたが、商品によっては即完売になるほど人気が急上昇していたため、期待値の高い中でのフラッグシップストア設立となった。

©︎100life.jp

2012年 ブランド初の写真集「SNOWDON BLUE」を発売

同年、初の写真集「SNOWDON BLUE」が発売された。イギリス人フォトグラファーであるスノードン卿によるこの写真集は、ブルーシャツをテーマとした61のポートレートが収められている。スノードン卿は、イギリスの故マーガレット王女の夫であり、ISSEY MIYAKE(イッセイ・ミヤケ)の写真集「ISSEY MIYAKE PERMANENTE」を撮影したことで知られている。出版を記念してロンドンで開かれたオープニングパーティーには、スノードン卿を始め、多くのセレブリティやアーティスト達が訪れた。

「Snowdon Blue」からにインスパイアされた8型のブルーシャツ ©︎FASHION PRESS

「フェイス」で世界を捉える

近年よく見られるようになったのが、長方形に目と口を描いたロボットのようなこのマーク。これは「フェイス」と呼ばれるシリーズだ。ヨハンソンいわく、「これはごく普通のスウェーデン人の顔」を表している。「フェイス」コレクションは、服装によって家族を、結び付けるというテーマをもって誕生したカプセルコレクション。(FASHION PRESS)

どの人もどの家族もその人々にとって普通なのであり、家族や人の多様性に対して普通か普通ではないか評するべきでないというような、人類の多様性を認めるメッセージが込められている。(MARUMARU)

「フェイス」マークが施されたニット帽 ©︎Acne Studios

Acne Studios コレクションを辿る

2008年 ランバンとのコラボレーション

アクネ・ストゥディオスとブランドのコラボレーションで、印象的なものが、LANVIN(ランバン)とのデニムコレクションだ。ランバンのデザイナー、アルベール・エルバス(Alber Elbaz)とアクネ・ジーンズがコラボレーションしたデニム・コレクション「Blue Collection(ブルーコレクション)」。

このコレクションは、アルベール・エルバスによる初のデニム・ラインだ。彼はアクネのデニム美学を、ランバンのクリエイションに落とし込み、女性に様々な選択肢を提供することを目指した。

デニム素材を活かしたパンツの他、ドレスにジャケット、コートはトレンチやタキシードタイプのものまで、幅広く取り揃えられた。デニムを通して女性のファッションの幅を広げることに成功した。

©︎Nitrolicious

2009年 イタリアの自転車メーカーBianchi(ビアンキ)とのコラボレーション

アクネストゥディオスのコラボレーションは、ファッションだけにとどまらない。なんと、イタリアの自転車メーカーBianchi(ビアンキ)とタッグを組み、The Acne/Bianchi bicycle(アクネ/ビアンキ自転車)というロードバイクを作った。クラシックなイタリアン・スタイリングにファッショナブルなひねりを加えた、目を見張るような作品となった。

ビアンキのピスタモデルをベースにした女性用フレームは、従来の男性用バイクを一回り小さくしたような形状だ。ソフトなスエードシートがそれを引き立てた。カラーはクローム、グリーン、イエロー、オレンジ、ピンクで展開された。

ドロップハンドルのピンクの自転車とイエローハンドルとブラウンのスエードシートが施された自転車 ©︎Wallpaper

2013年秋冬 初のパリコレクション

ウィメンズコレクションの発表開催地をロンドンからパリに移し、パリコレ初舞台となった2013-14年秋冬コレクション。アーティストのカトリーナ・ジェブ(Katerina Jebb)とコラボレーションし、パリのモード&コスチューム博物館所蔵コスチュームのヴィンテージ生地をスキャンし制作したフォトモンタージュを、シルクの内側などにプリントして仕上げられた。

シャープなブラックやネイビーで始まり、だんだんとヴィヴィッドなイエローにブルー、さらにあたたかなピンクやメタリックカラーなど、異なった質感の色を多彩に展開。素材としては、ビッグシルエットのジップジャケットなどに見られるボンディングした張りのあるレザーが特に印象的だ。構築的なシルエットを纏い、彫刻のような風合いを醸し出した。

ボトムスにはサイドにレイヤードされた生地が広がり、歩くたびにボリュームが豊かなシルエットに。その足元には、フリルをあしらったストラップサンダルがお目見えだ。銀色のランウェイを歩くモデルたちは、まるで水の上を彷徨うスワンのようだ。

©︎FASHION PRESS

2014年メンズとレディースのアンダーウェアコレクション

2014年には、ブランド初のアンダーウェアコレクションが登場。アクネ・ストゥディオズ心斎橋店で先行発売され、その後青山店で展開された。アクネ・ストゥディオズの特徴的なディテールを使用したこのアンダーウェアだが、生地には上質なピマコットンが使用された。メンズは、ボクサー、ブリーフ、ハイウエストブリーフ、ショーツの4種類、レディースはノーマルまたハイウエストの2種類が展開された。ジョニー・ヨハンソンは、「アンダーウェアはベージュのような肌に近い色味が好ましい、履いていないような自然な感じが好きだから」(©︎FASHION PRESS)と語り、その言葉の通り、カラーは繊細なサンドカラーやパテ、ミリタリーグリーン、クラシックなブラック、ホワイトなどで構成された。

©︎FASHION PRESS

2015年 アイウェアコレクションをスタート

2015年秋冬コレクションに登場したフューチャリスティックな「Mask」や、太縁の「Library」などを始めとし、丸みのある「Sigmund」や楕円形の「Mustang」からカービーなラインが特徴的なアビエーターサングラスまで幅広い形のアイウェアが登場した。

イエローレンズにゴールドフレームを合わせたり、ピンクフレームにピンクレンズを載せるなど、レンズの風合いとフレームの色合いにこだわり、他にはないアイウェアコレクションを目指して作られた。

ヨハンソンは、「新しいスタイルの提案、また今までのデザインに改良を加えたコレクションを作りたいと考えていました。今回のファーストコレクションは、私がインスピレーションを受け参考にしている音楽界のお手本をモデルに描きました」とコメントした。(FASHION SNAP)

©︎FASHION SNAP

2015年 バッグコレクションをスタート

アイウェアコレクションが発表された同年12月、新たにバッグコレクションがローンチされた。"Rope styles(ロープ・スタイルズ)"、"Buckle jeans(バックル・ジーンズ)"、"Hero jeans(ヒーロー・ジーンズ)”の三つの構成となった。

"ロープ・スタイルズ"は、2015-16年秋冬コレクションに登場したロープのディテールに着想を得たものだ。ロープスティッチングの技法をバッグのデザインに応用し、レザーのボリュームをコンパクトに見せることに成功した。"Rope jungle backpack(ロープ ジャングル バックパック)""Rope messenger bag(ロープ メッセンジャー バッグ)""Rope hip bag(ロープ ヒップ バッグ)"の3つのプロダクトから構成され、レッド、イエロー、ブルー、ネイビー、ブラック、ベージュのカラーが展開された。

「Rope jungle」バックパック、「Rope messenger」メッセンジャーバッグ、「Rope hip」©︎VOGUE25JAPAN

"バックル・ジーンズ"は、シャンパンを携帯するためだけに考案されたバッグ。フォームが不思議と興味をそそるシャンパンバッグと、ホワイトのスティッチング、センターシーム、バックルのディテールといった、特徴的なジーンズのディテールをプレイフルに融合し、ブランドのアイデンティティを象徴するデザインとなった。

「Buckle jeans」「Hero jeans」©︎VOGUE25JAPAN

"ヒーロー・ジーンズ"は、バックル・ジーンズのデザインを継承しながら、ショッピングバッグを模してフォームをスクエアにし容量を増やした、最も実用的なバッグとして考案された。

ジョニー・ヨハンソンは「私にとってバッグとは、単なるオブジェ以上の存在であり、個人的に思い入れのあるプロダクトの一つ。バッグのデザインに取りかかった当初から、私の目的は、イットバッグを生み出すことではなく、現存するあらゆるバッグのスタイルと異なったプロダクトを生み出すことだった。バッグのデザインプロセスは、私にとってはある種、彫刻的で、あたかもアートピースを生み出しているような感覚だった」とコメントした。(WWD)

2017年 新デニムライン Acne Studios Blå Konst(ブロ コンスト)をスタート

1号店が渋谷に誕生。ブランドのコアであるデニムの概念を再構築し、そのレガシーを受け継いでいくことを目標として作られたこの新ラインは、ゼロベースから1点1点のデザインやディテールを見直した。スタイルをボトムス3型、ジャケット2型に絞り、よりシンプルに生まれ変わり、デニムらしさを追求した。

「Blå Konst(ブロコンスト)」はスウェーデン語で「Blue Art(青い絵)」を意味する。ヨハンソンは、「デニムは着用者のキャンバスのようなもので、”自由な表現”の象徴だと考えています。」と述べている。(FASHION SNAP)

このデニムを着ることで、まるで絵を描くときのように、自らを自由に表現することができるのだ。

©︎FASHION SNAP

2024年秋冬メンズコレクション

バイカーやグランジ、レイブなどのアンダーグラウンドなカルチャーに影響を受けた本コレクションでは、全体を通して大胆なグラフィックを施した。中でも、ブランドが得意とするデニムウェアに焦点が当てられた。

デニムパンツにはトロンプ・ルイユ(騙し絵)の手法を用いてベルトやチェーン、シワ感を描いたり、本体にハードなダメージ加工を施したりすることで、グランジテイストのモチーフを丁寧に表現。

ロング丈のボトムスには、腕のモチーフが大胆にプリントされた。トップスにはヴィヴィッドなレオパード柄、パーカーなどには、グラフィティとリンクするような文字を描いた。

ウェアのシルエットは、オーバーサイズとタイトにおける大胆なコントラストが特徴的だ。中綿入りボンバージャケットやボアで縁取られたレザージャケットなどは、ダイナミックなサイズ感で創られた。一方で、ノースリーブやハーフスリーブのトップスなどにおいては、ボディに吸い付くようなタイトなシルエットが提案された。

©︎FASHION PRESS

セレブリティとアクネ・ストゥディオス

2025年春夏コレクション

今年9月にパリで行われた2025年春夏コレクションでは、世界中から豪華なゲストが来場。宇多田ヒカルやウィロー・スミス、ILLIT(アイリット)など、アクネストゥディオスは多種多様な業界のセレブリティから愛されている。そんな来場者たちによるスナップを紹介していこう。

歌手である宇多田ヒカルは、ブラウンのクロップドジャケットに切り替えが特徴的なブラウンのスラックスを合わせ、統一感のあるコーデで登場した。

©︎VOGUE25 JAPAN

昨年デビューした韓国アイドルILLITは、体のラインを拾うダークトーンの落ち着いたワンピースにトレンドであるリボンバッグをピックアップ。モードでありながら、リボンをふんだんに取り入れた今年の流行を取り入れたスタイルで登場した。

©︎VOGUE25 JAPAN

2023年1月に撮影されたスナップで人気モデル、ヘイリービーバーはアクネ・ストゥディオスのヴィンテージアイテムを着用。レザージャケットとデニムをスタイリング。このレザージャケットは彼女のヘビロテアイテムだ。彼女は、ストックホルムを拠点とするヴィンテージレザージャケット&コート専門ショップ、WORN VINTAGEで手に入れたアイテムをよく着用している。

©︎VOGUE25 JAPAN

別の日には夫であるジャスティン・ビーバーとぷ出かけているところをスナップ。アクネ・ストゥディオス人気アイテムのボンバージャケットに身を包んだ。ストリートコーデに少しのアクセントをあしらい、華やかでありながらカジュアルなスタイルだ。

©︎VOGUE25 JAPAN

人気モデル、ケンダルジェンナーはセーターがお気に入りのようだ。アクネストゥディオスにしかない特徴的なドットが印象的なブラウンのセーターをチョイス。

©︎ELLE girl

韓国アイドルBLACKPINKのリサは、スタッズの印象的なルーズフィットジーンズを着用。Tシャツを捲し上げてバランスを取ったサマーコーデは、垢抜けた印象に。

©︎Vestick

派手なものには興味がないージョニー・ヨハンソンの野望

ジョニー・ヨハンソンは、あるインタビューでこう述べている。

“I’m not into fancy stuff. And I don’t like vintage. It has to be very straightforward for both men and women; I’m very [into the idea of] unisex.”(派手なものには興味がない。ヴィンテージも好きじゃない。男性にも女性にもとてもわかりやすいものでなければならない)※3

今日のデニム・ビジネスは、既製服と同じくらい目まぐるしく変化している。ボーイフレンドはマムジーンズに取って代わられた。そしてフレアは、熱狂的なジーンズ愛好家でさえも把握しきれないほど頻繁に流行り廃りを繰り返している。

アクネ・ストゥディオズは、トレンドを手に入れようと躍起になるのではなく、1997年に立ち上げたシンプルな原則に忠実であり続けることで、生き残り、成功しているブランドだ。スウェーデン発のこのブランドのデニム哲学は、創業者ジョニー・ヨハンソンの「派手なものには興味がない」という言葉に集約されている。ヨハンソンにとって、クールな匿名性は美徳であり、時が経つにつれて、その品質こそがアクネ・デニムの特徴となっている。

©︎VOGUE25 JAPAN

"five-pocket jeans are the Coca-Cola of fashion."(5ポケットジーンズはファッション界のコカコーラだ)※4

彼にとってファッションへの一歩は、決して新しいデニムへのアプローチをしようということではなかった。アクネとして最初の100本のデニムは、ファンや友人、知り合いのカメラマンにプレゼントして、無理やり履かせて成功したものだった。それはとても良いスタートとなったが、同時にとても衝撃的なスタートでもあり、すべてがあっという間だったという。そして彼らは単なるデニムブランドではなくファッションブランドになりたかったのにも関わらず、デニムの箱の中に入れられてしまった。彼らがやりたかった他のことに興味を持ってもらおうとするのは、ちょっとした苦労だったという。新しい名前がついたからといって、ある瞬間だけ流行るような一品プロジェクトになることが怖かったのだ。

アクネストゥディオスは、“Ambition to Create Novel Expression”(新しい表現を生み出す野望)をモットーに、クリエイター集団としてさまざま革新的な表現を生み出し、この世に送り出してきた。その挑戦はこれからも止まることを知らない。

References