GANNI:サステナブルで自由な北欧スタイル—GANNIが創る新時代のファッション
GANNI Official - Barbour®GANNIコラボ 2024年10月30より発売 ©GANNI
エシカルでファッショナブル。この近年のファッショントレンドを取り入れて人気上昇中のブランド・GANNI(ガニ―)。2000年にコペンハーゲンからスタートした北欧ブランドだ。SNSなどでインフルエンサーたちからの注目を集め、ファッショナブルでありながら手に取りやすいプライスで若者の支持を集めている。
今回は、ガニ―のエシカルなクリエイションの裏側と歴史を紹介する。あわせて、今話題のアイテムも押さえていこう。
GANNIの出発点
今でこそ、明るい色彩とサステイナブルなクリエイションで有名なガニ―だが、その歴史を知る人は少ないのではないだろうか。ただファッションを楽しむだけではなく、「私たちが生きる世界ごと」ファッションで楽しむ姿勢を教えてくれるブランドの歴史を紐解いてみよう。
創設者はギャラリスト、スタートはカシミヤレーベル
その後、2009年にディッテ・レフストラップ(Ditte Reffstrup)がクリエイティブディレクターに就任する。そして、ディッテの夫である ニコラス・レフストラップ(Nicolaj Reffstrup)がCEOを務め、ウィメンズウェアブランドとして改めてスタートを切った。
左ディッテ、右ニコラス ©︎FINANCIAL TIMES © Maja Flink
ハイファッション、ハイストリートへの舵きり
小さなカシミアウェアの会社から、モードなウェメンズウェアへと舵切りをしたディッテとニコラス。ファッションバイヤーをしていたディッテは、その経験を活かして自分や仲間たちが着たいと思う新しいスタイルの北欧ブランドを目指した。
明るくカラフルな服を纏う等身大な彼女たちを見ていると、ガニ―の人気も頷けるだろう。「毎日」に根差しているクリエイションのフィロソフィーは、ガニ―のアイコンにも反映されている。
インフルエンサーとSNSを活かしたニューエイジブランド
カラフルでロマンチック、そしてキャッチーな洋服の数々は、写真のなかでもその魅力を遺憾なく発揮する。
だからこそ、ガニ―はとくにSNSで若者の支持を集めるブランドとなったのだ。
例えば、デンマークのファッショニスタで、インスタグラマーでもあるペルニーレ・タイスバック(Pernille Teisbaek)は、昨今のガニ―人気の火付け役のひとり。動画では、ガニ―のアイコンブーツやブラウスの魅力を語っている。
Pernille Teisbaek gets dressed in Scandi style for Ganni | Get Ready With Me | Vogue Paris
GANNIのワンピースを着たペルニーレ@pernilleteisbae
SNSでガニ―の人気を後押ししたのは、インフルエンサーだけではない。#(ハッシュタグ)も注目してみよう。Instagramでは、#gannigirlsというタグでファッションインフルエンサーたちのガニ―の着こなしを楽しむことができる。トレンディでカラフルなスタイリングや、デイリーな装いを参考が参考になる、見ていても楽しいタグだ。
タグで目を惹く、大きくGANNIと描かれたニットはガニ―の定番アイテム。フルーツやフラワーなど豊富なパターンがあるため、コレクション趣味にはたまらない。
GANNIプリントのTシャツも人気の一品。春夏はTシャツ一枚でカジュアルに、秋冬はTシャツにレイヤードして通年楽しむことができる。
サステナビリティへの取り組み
ガニ―はエシカルなクリエイションで、サステナビリティを意識した取り組みを行っていることでも有名だ。
ファッション業界に限らず、多くの企業では「サステナビリティレポート」を公開している。サステナビリティレポートとは、持続可能な社会の実現に向けて行った取り組みを一般に公開したものだ。
ガニ―のオフィシャルサイトでは、「Responsibility Report」という名前で大々的に発信を行っている。
例えば素材。2023年の時点で使用するコットンのうち、約96%がリサイクルやオーガニックコットンだ。
また、バージンレザーと呼ばれる天然のレザーから、リサイクルレザーや次世代の素材のレザーを用いるような取り組みを積極的に行っている。ガニ―は段階的にバージンレザーを廃止するために、2024年以降はレザーの生産を行わないことを今後のレポートで報告するという。
また、ガニ―は制作だけでなく、コレクションの発表やインスピレーションも社会やサステナビリティに根差している。次は、ガニ―の歴代コレクションを辿りながら、ガニ―の「目」を見てみよう。
GANNIの歴代コレクションを辿る
ガニ―はコレクションの発表の多くをコペンハーゲン・ファッションウィークで発表する。ファッションウィークといえばパリやミラノが有名だろう。しかし、コペンハーゲンのファッションウィークも昨今新しい方面で注目を集めていることをご存じだろうか。
パリやミラノに続くユニークなファッションウィークを目指す、コペンハーゲンのファッションウィークは、「環境に配慮したファッションウィーク」を軸に置いている※1。
参加するブランドは、サステナビリティや労働環境、多様性、平等に関する18項目の基準を満たす必要があり、ガニ―はこのコペンハーゲンファッションウィークを代表するブランドでもあるのだ。
Copenhagen Fall 2017
2017年秋のランウェイには、ピンクで「LOVE SOCIETY」のネオンサインが灯っている。2017年秋のテーマは「愛」。デザイナーのディッテは、ニューヨークの選挙が盛り上がるタイミングにニューヨークにいながら、出身ではないため選挙に参加できなかった悲しさから、愛と社会をテーマにしたクリエイションを発表したという※2。
リボンやフリル、ハートのデザインを用いて、ロマンチックなクリエイションに仕上げた。
Copenhagen Fall 2017- VOGUE©UMBERTO FRATINI
Resort 2021
このコレクションは、リゾートコレクションならではの華やかさもありながら、デイリーユースしやすいアイテムがそろい踏みした。ディッテたちがこのコレクションの制作に着手し始めた直後、世界はコロナウイルスによって混乱に陥った。
誰もが見えない未来に不安を感じるなか、それでもガニ―の制作チームは持ち前のポジティブさを失わず、その思いをクリエイションに込めた。
2021年リゾートコレクションのポイントは、ガニ―のシグネチャーともいえる大きなカラーやバブルスリーブ、そしてミニドレス。それまでのコレクションをブラッシュアップして、より洗練されたデザインになっている。
Resort 2021©Josefine Seifert / Courtesy of Ganni
Copenhagen Fall 2024
このコレクションでは、普段のガニ―よりもクールでクラシカルなコレクションが目を惹いた。とはいえ、昨今トレンドの厚底ローファーを取り入れたスクールモードなガニ―ガールも必見だ。
また、今回のコレクションの特徴はショーを行わなかったことだ。その代わり、ガニ―は展示会とディナーにコペンハーゲンの新進気鋭デザイナーを招き、支援を行った。
Copenhagen Fall 2024©Ellen Fedors / Courtesy of Ganni
「衣食住」という言葉があるように、衣服を纏うこと、食べて生きること、地球に住むことは、分かちがたく結びついている。だからこそ地球にやさしいファッションを、私たちが笑顔になれるファッションを、ガニ―はつくり続けている。
サステイナブルな取り組みととともに、これからのガニーはどのような世界観を見せてくれるのだろうか。デイリーでエシカル、そこにキュートなドリームを忍ばせたガニ―にこれからも目が離せない。
References
- FARFERCH「SNSで話題の北欧ブランドGANNIの魅力。世界中が憧れる理由とは?」
- GANNI「2023GANNI Responsibility Report」
- GANNI「GANNI Official - Barbour®GANNIコラボ」
- ※1 Yuniya Murakami『Fashion-ology: An Introduction to Fashion Studies』(2018)Bloomsbury Publishing
- ※2 VOGUE「GANNI Copenhagen Fall 2017」
- VOGUE「GANNI Copenhagen Fall 2024」
- VOGUE「GANNI Resort 2021」
- FINANCIAL TIMES「Ganni, Copenhagen’s cool girl brand goes global」
- THE CUT「copenhagen invasion Oct. 14, 2019 Out to Lunch With the Women of Ganni」
- Instagram@@ganni
- YouTube - Pernille Teisbaek gets dressed in Scandi style for Ganni | Get Ready With Me | Vogue Paris
- Instagram@pernilleteisbaek
- Instagram@styled.daisy
- Instagram@elinorcharlotte
- Instagram@molly.marsland